kyon BOOK’s Life blog

ものごと、できごと、考え方、ふとした気づきや知見を拡げる為の書籍を紹介します。たまにつぶやきます

Slow Down 減速する素晴らしき世界

ダニードーリング著
遠藤 真美 訳
山口 周 解説



●本書について
「加速する時代についていく」
世界のあらゆる側面においてキーワードになるこの言葉を本書はあらゆる分野からみたデータによるエビデンスを元に、逆に、
スローダウン(減速)、あるいは安定(停滞)という逆説を唱えた一冊です。
注釈を含めるとざっと500ページを超えます。
あとA5サイズなので、辞書みたいです。笑

●本書をお勧めする理由
山口周氏が解説されていること。
また経済、情勢への示唆を高めたいということで選書いたしました。

内容から言いますと、
口コミでも書かれていますが、
・世界は変化し成長することが重要
という視点を現在、そしてこれからの時代において加速するどころか停滞または減速していくということを記しています。
(データ等も添付されていますが、ちょっと私は見にくかったので、文章で読まれる方がスッと入る気がします。)

・20世紀初頭からの発展、成長は急速であり、凄まじいものがあった

・現在、世界人口、GDP、化学、債務、ローン
あらゆる分野において、経済成長が頭打ち

・21世紀半ばからはもはや減少に転じていく

・スローダウンは負の動向では無くむしろ格差の少ない安定した社会、大加速時代からの新しい変容

といったところが本書キーワードかなと思いました。

発展、拡大を前提としてきた現代文明からの新しい局面としています。
Forbes Japan谷本由香さんも仰られていましたが、
これから新しい価値観をどう作り出していくかが
重要となり、それが新たな資本主義を形成すると解釈しました。
情報過多による誤った、偏った見方では無く、
実際はこうだよ、だからどうする?という示唆に富んだ一冊でした。

そして、山口周氏の解説にて
・現代、多くの人が"呪い"に支配されている
・"呪い"とは、「人から思考・行動の自由を奪う言葉」
・呪いは言葉、つまり情報からできている
・あらゆる"呪いの解除"が必須
・加速しているという迷信から思考を解除することで新たな行動を生み出す

と述べられています。
まさに時代の波を乗りこなす言葉でした。
その為に波を知る、そんな一冊となります。
500ページ超えで電車では少し持っていて手が痛かったですが、読まれる価値はあるかと思います。
是非手に取っていただけると嬉しいです。
 

Compassion(コンパッション)―状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力

一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート監訳

Compassion(コンパッション)――状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力 | ジョアン・ハリファックス, 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート, 海野桂 |本 | 通販 | Amazon
Amazonでジョアン・ハリファックス, 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート, 海野桂のCompassion(コンパッション)――状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力。アマゾンならポイント還元本が多数。ジョアン・ハリファックス, 一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート, 海野桂作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。またCompassion(コンパッション)――状況にのみこまれずに、本当に必要な変容を導く、「共にいる」力もアマゾン配送商品なら通常配送無料。
www.amazon.co.jp

●本書について
仕事、活動においての相手やチームとの関係構築と自分自身の適切な行動の仕方とマインドセット「コンパッション」についてリーダーシップと人生観について解説されています。

●本書をお勧めする理由
一つ前の読んでいたものにマインドフルネスに関連した書を読んでおり、その際に本書の著者を知ったことがきっかけです。
他を助け、共に生きる力を養うために必要な、
利他性
共感
誠実
敬意
関与
この5つを各章でテーマにしています。
本書の中でこれら資質を、
「エッジ・ステート」と呼んでいます。

本書でとても共感できたのが、
この5つの資質は、それ無くして人の役には立てないし、人生を豊かにすることもできない。
しかし、質が低下すると逆に害となる。
そんな二面性をもったものである。
という点です。

例えば、
・過度や間違った利他性は(無私の行為では無い)、役に立とうとする相手を傷つけ、自分をも傷つけてしまう。
→病的な利他性

・相手の苦しみをあまりにも深く受け止め、一体化しすぎることで自らも傷つき動けなくなってしまう。
→共感疲労

・倫理や道徳的指針の軸がなければ、誠実さや正義感、善意に反する行為に関わったり、目にしたりすると行動できなかった自分を苦しめる。
→道徳的苦しみ

・敬意は、エッジステートのバランスが崩れた状態では、「軽蔑」という有害な沼に変わる。

・関与の資質を間違えること(過労、有害な職場環境、仕事の効果が現れないことによる無力感)
は、「燃え尽き」、身体的、精神的な苦痛を伴う。

本書は、間違った資質を持たないため、
視野、視座をどう捉えるか。
相手に対して、どう感じ、どう飲み込み、どう放出するかの正しいエネルギーを各章で理解できます。

正しいエッジ・ステートは、
相手との垣根を取り払い、役に立ちたいという原動力となり、私達の世界観を広げる。
自他共にエネルギーを高める力が必要だと再認識しました。

その為には、自分と向き合い、時に転落する危険のある崖(エッジ)に立ち、見渡すことをしなければいけない事
崖(edge):崖っぷち=他にない最先端のもの

"たとえ転落しても、再び幸福の頂に登る"
共に素晴らしい人生の景色を見ましょうという
著者の熱いものを感じることができる良書だと思います。

是非手に取ってみてください。
#コンパッション

人間主義的経営

ブルネロ・クチネリ著
岩崎春夫訳


●本書について
イタリアのソロメオ村という小さな村で、カシミヤを染色する会社を設立した著者の経営理念と生き方を記しています。
著者ブルネロ・クチネリ氏のカシミヤはなぜ愛されるのか。
著者の理念である、「人間のための資本主義」を
彼の生き様を辿りながら本書は纏められています。

●本書をお勧めする理由
手に取った理由として、
経営者として、「物」ではなく、「想い」を売る。
そんな著者の思想に惹かれたことです。

著者は生きていく中で、
「自然と共存すること」
「哲学を持つ事」
を最優先に考えられているのが伝わり、非常に感化されました。
理念である、
「人間のための資本主義」を掲げた理由として、本書では、
「人間を大切にする事」、つまり尊厳を守る事が絶対的な人生の価値基盤である。
と述べております。

著者の哲学、思想のルーツとして、本書でも良くマルクス・アウレリウスの言葉を引用されています。

人は他者のために生きることによって人となり、
学ぶことによって、善き存在となる。

利他の精神が人生の価値を高め、
経営者としての思想を強いものにすると認識しています。

カシミヤの糸を生成してくれる職人
カシミヤを染色してくれる職人
全ての経営に関わる人の思いを大切にする著者の生き方は本書を通じて熱いものを感じます。

推薦者 楠木建氏の記載のとおり、
思想を紡いで服を作る、服に託して哲学を売る。
最高の経営者であると思いました。

そして、得た利益で村を修復し、
文化、芸術、人々の交流を促進するために劇場や図書館、公園などの施設を整備するなど、
経営の全てが利他に生きるやり方も、

多くの経営者がソロメオ村を訪れ、
「世界一美しい会社」と言われる所以では無いかと感じます。

経営するもの、目指すものの視座を高めてくれる本書を是非手に取ってみてください。


世界は悪ガキを求めているー新時代を勝ち抜く人の思考/行動/キャリア

妹尾 輝男著

求められる人材の激変を知ることができる良書。
今までは頭脳明晰で勤勉、並外れた才能と人格者である、そんな人が理想の経営者像だった。

わたしもイメージするのが
松下幸之助氏や稲盛和夫氏のような人格者です。

しかし、現在の活躍する、経営者の面々を並べた時にそれは当てはまるだろうか、

マークザッカーバーグ、ジェフベゾス、ビルゲイツ、イーロンマスク、
日本なら孫正義氏、堀江貴文氏、柳生正氏。

彼らの共通するところは、まさに
自分の好きなことを、周りのルールをねじ曲げてまで追求していく。
服装もキャラも、周りから"変わり者"と思われても意に介さない。

そんなイメージはまさに典型的な
"悪ガキ"
を彷彿させるでしょう。

本書でのキャッチーなフレーズは、

・安定を望むな、変化を望め

・人格より情熱が大事

・本気で楽しむ、ことに一切妥協しない

本書内においても、悪いことをすれば良い、
誰のいうことも聞かない、
ということが悪ガキではないと記しています。
時代の変容を掴み、自分の哲学を持ち続ける
そしてそれを他のために話すことは絶対にしない信念を持つこと、

それが悪ガキということでしょう。

価値観のガラパゴス化
歴史を辿り、過去を憂うこと。
それは大切だし、忘れることはしなくて良いでしょう。
だだし、過去の栄光にすがり、過去と同じ価値観と思考ではリーダーとして前に進むことはできません。

「個」として世界と対峙できる日本人へ

そんな壮大なリーダー論を諭してくれる
リーダービジネス書と感じました。

会社の経営者をはじめ、
部下を持つ全ての方、
事業を営む個人

そんな方に新しい視野を見つけさせてくれる、
そんな本書を是非お手に取ってみてください。

集まる場所が必要だ―孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学

エリック・クリネンバーグ著
藤原 朝子訳


●本書について
昨今のインフラ整備について、環境や公共機関、はたまた建造物に対して力を入れている政府に対し、人々がコミュニティを形成する場を無くしてまで最優先されることなのか。
という疑問をコミュニティネットワークこそが社会的インフラを向上し、人々の支えと助けになるかを述べています。

●本書をおすすめする理由
本書を手に取った理由として、スモールジムやスモールスタジオという存在価値と社会的インフラに共通点があるなと思ったことです。

本書の内容としては、
社会的インフラを構築することによる、
・孤独によるメンタリティの改善
・地域社会における、図書館、託児所、はたまたそれと同等のコミュニティ地の存在価値
・社会的インフラが影響する地域犯罪の減少
・人種、性別を超えたコミュニティが生み出す絆とその恩恵

各章で分けながら解説されています。

健康被害、死亡率において、
日本でも、心疾患、生活習慣病に次ぐ勢いで
統計的に多くなるのが"孤独死"です。
コロナパンデミック期間での自殺者数も日本で
は平均よりも高まりました。
人は、孤独を感じることで健康に害を成すのは知られている事実です。
ここに、人々が集まれる環境を作り出す、
良質なコミュニティを作り出すことの意味を
再認識できたかと思います。
私もスモールスタジオ展開を目標にしていますが、
このコミュニティで大事にしていきたい、
"メンバーとの関係性を強くし、それを通じてメンバーの人生がより良くなっていく場所"
この教えを再度考えて進めていきたいと感じた次第です。

交流が生む物理的な"場や組織のかたち"を明らかにした良書だと感じましたので、ぜひどうぞ手に取ってみてください。



ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために

ドリー・クラーク著
伊藤 守監修
桜田 直美訳

Amazon短縮URL
ロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために | ドリー・クラーク, 伊藤 守, 桜田 直美 |本 | 通販 | Amazon
Amazonでドリー・クラーク, 伊藤 守, 桜田 直美のロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするために。アマゾンならポイント還元本が多数。ドリー・クラーク, 伊藤 守, 桜田 直美作品ほか、お急ぎ便対象商品は当日お届けも可能。またロングゲーム 今、自分にとっていちばん意味のあることをするためにもアマゾン配送商品なら通常配送無料。
www.amazon.co.jp



本書で得た着想をシェアさせていただきます
より長期的な思考をし、そのために短期的に行うことを深掘りしていけるかと思います。
主に時間の余白を作ること、そして最適な時間を形成する事が全容かなと思いました。
特に、
・取捨選択のスキルを磨く
「すごい、最高、絶対やる!」と感じないなら「ノー」と言う

・現状の犠牲者にならない
現在地を基準に未来を考えてもなにも生まれない、または可能性を抑制してしまう
未来の自分に投資する

という点が刺さりました。

また、キャリアの波にのるということで、

1.学ぶ
2.創造する
3.つながる
4.収穫する

特に3のつながると言う点において、
「無期限に有益である」コミュニティを形成すべきと記されており、
まさにこれと実感しております。

ああなりたい、いつかは。
この言葉の再認識すべき点は、

「いつか」は永遠にやってこない

と言うことでしょう。

自身のライフプランを明確にすることで道は開けます。

人生という「ロングゲーム」を考える一冊となるかと思いました。
ぜひ読んでいただけたらと思います。

夜と霧

ヴィクトール・E・フランクル


●本書について
原著の初版は1947年、日本語版の初版は1956年です。そして現代版として2002年に新版とされたのが本書です。
ナチス強制収容所での実体験を記されており、
「人間とは何か」「人生とは何か」を精神分析学者である著者の主観的、客観的観点からまとめられています。

●本書をお薦めする理由
まず、実体験だと言うことに名著と言われる所以を感じさせました。
本のキャッチでもあるように「人間とは何か」という本書体験記の生々しい思いが伝わりました。

著者は、ユダヤ人であると言うだけの理由から
有名なアウシュビッツ強制収容施設での生活を体験しています。
正直、読みながら感情移入してしまうので
「うわ」や「え〜」等言葉に出てしまう程の内容です。
ただ、著者の描き方は実体験から生まれる主観的な解説ではなく、全ての生活と行動を分析し、客観的に解説されているので、感銘を受けました。

それとともに、本書にて着想を得られたのが、
時代と環境が全く違う現代においても、
・人生への考え方、捉え方
・自分自身の生き方
そういった所を照らし合わせることができるなという点でした。

本書内の一文にて、生きる意味について述べているのが、

「人生に何を期待するか、ではなく、
"人生が"私たちに何を期待しているか」

というコペルニクス的転回です。
私たち一人ひとりに生きることの課題があり、
それを全うしなければいけない。
まさに自分という人間が、他に対してどんなもの、ことを与えることができるかを考えることに生きる意味があると解釈しました。

それが、強制収容所であろうが、コロナ禍の現代であろうが関係なく、その生き方が自分を失わないという事なのだと思います。

その他にも、
・閉鎖的環境下
・自由のない強制された状況
そこで堕落する者、希望を見出せなくなる者、光を失わなかった者それぞれのバイアスや精神マインド、行動心理も非常に参考になりました。

時代環境は違えど、現代もこの似たような環境は存在すると思います。
その環境に身を置いたとしても人生の目的を持ち続ける事で、理想の環境に得てして身を投じることができると感じました。

兎にも角にも盛大な人生を送られた著者の言葉は刺さるものがありましたので是非手に取ってみてください。